第74回SCJSF&JABAフォーラム
「JOB HUNTING」
日時:2025年6月28日(土)午後3時~6時
会場:UCLA Geffen Hall
講演1
「逆輸入博士,日本企業でつまずく~アメリカ帰りの博士が直面した日本企業のリアル~」
大西健史
Postdoctoral Researcher, Cedars-Sinai Medical Institute
要旨:アメリカでコンピュータ・サイエンスの博士号を取得し,グローバルな視点と最先端のAI技術を身につけて帰国――しかしこれで日本企業でも順風満帆とはいきませんでした.本講演では,米国の大学院で学んだ最先端技術を武器に日本企業に飛び込んだものの,そこで直面した「文化のギャップ」や「想定外のつまずき」,そしてその乗り越え方を赤裸々に語ります.「日本で働くって実際どうなの?」「アメリカで培ったスキルは活かせるの?」と疑問を持つ留学生や研究者に向けて,アメリカで博士号を取得し,日本でサラリーマンとなった経験者だからこそ見える日米の違い,そして日本でキャリアを築くために必要な視点を共有します.この講演が日本での就職を,前向きに考えるきっかけになれば嬉しいです.
ご略歴:2013年3月,豊田工業大学先端工学基礎学科を卒業(学士).同年6月より渡米しToyota Technological Institute at Chicago Ph.D.課程,2020年8月にPh.D.取得.同年9月より帰国しトヨタ自動車未来創生センターにて勤務.2023年4月から1年間のTexas A&M UniversityのVisiting Scholar を経て,2024年6月より現職.専門は自然言語処理.個人HP:https://0024takeshi.bitbucket.io/ トヨタ自動車時代:https://www.toyotarecruit.com/interview/071/
講演2
「My Experience with Tenure-Track Job Market 2024-2025 Cycle」
伊藤史晃
Postdoctoral Research Associate, Department of Microbiology, Immunology & Molecular Genetics at UCLA
Incoming Assistant Professor, Northwestern University Feinberg School of Medicine
要旨:アメリカで研究者として独立する上で一つのマイルストーンとなるのが、テニュアトラックの教員ポジションに就くことです。しかし、全米中の優秀なポスドクが凌ぎを削るこの競争市場においてポジションを得るのは容易ではありません。筆者は本サイクル(2024–2025)にて教員ポジションに応募し、Top-tier schoolを含む複数の研究機関から5件のオファーを獲得することができました。特に今回のJob marketは、新政権による科学研究費の大幅削減や大学運営への政治的介入などがあり、前例のない不安定な状況下での活動となりました。本セミナーでは、Job huntを終えたばかりの筆者が、実際の体験をもとに成功談・失敗談を交えながらアメリカのテニュアトラック市場の現状と戦略についてシェアする予定です。
ご略歴:2011年、東京大学農学部卒業(学士)。2013年、東京大学大学院農学生命科学研究科卒業(修士)。2019年、University of Southern California (USC), Ph.D. in Molecular Biology. 2019-2025年、Postdoctoral Research Associate,UCLA and USC (Joint-affiliation). 2025年9月~、Assistant Professor, Northwestern University Feinberg School of Medicine. 中島記念国際交流財団フェローシップ(2013-2018年)、NIH K22 Career Transition Award Fellow (2024年~)。専門は分子生物学、構造生物学、ウイルス学、癌研究、低温電子顕微鏡解析による生体分子複合体の3次元構造の決定。