講演者インタビュー




「Social Impactを高めるために」
MBAで将来の金融システムについて考える平林さん

2019/10/06





平林 高明 (Takaaki Hirabayashi)

UCLA Anderson School of Management(Class of 2019)

略歴:2012年3月東京大学法学部政治学科(第Ⅲ類)卒業。在学中にリーマンショックを経験し金融システムの重要性に惹かれ、同年4月に金融庁入庁。同庁では、地域銀行の将来の収益分析や新しい検査・監督の在り方を検討。また2014年から2年間、財務省主計局に出向し、ヨーロッパの財政状況や予算制度の調査等を実施。2017年よりUCLA Anderson School of ManagementにてMBA留学中。また、現在、Exa Innovation Studio Inc. (EIS)にて、フィンテック企業調査等のアカデミックインターンシップ中(当時)。



——金融庁入省前から、留学したいという気持ちがあったのでしょうか?それとも入省後に思いを強くされたのですか?

平林(敬称略):入庁前からありました!と言いたいところですが、大学生までの間、日本に住んでいて日本語だけ使っていても不便を感じたことは無かったので、あまり意識したことは無かったです。しかし、国家公務員の仕事を始めてからは英語に触れる機会が多くなり、特に財務省に出向している際には、海外投資家の方々に日本の財政状況や財政健全化に向けた取組を説明する機会があるなど、英語力の必要性を痛感しました。英語の読み書きだけではなく、会話やコミュニケーションのスキルを向上させる必要があると感じ、留学して英語力を高めたいと思うようになりました。


——MBAで学ぶ内容は、金融システムづくりにどのように関係するのでしょうか?

平林:難しい質問ですね(笑)。金融システムは色々な要素が相互に連関し互いに影響し合って形成されていますが、中でも重要な機能の一つが金融仲介機能です。日本では間接金融が依然として大きな割合を占めていて、主に銀行が金融仲介機能を担っていますが、少子化などの社会環境の変化を受け、かつてのように銀行も利益を上げるのが難しくなっています。そうした中でも銀行が金融仲介機能を発揮し続けるためには、銀行のビジネスをサステナブルなものにしていく必要があり、それをどのように実現していくのか、金融庁としても銀行との対話を通じて一緒に悩み考えていきたいと思っています。その対話を円滑に進めるためにも、ビジネスへの理解や企業の戦略の立て方などの知識が必要だと思い、MBA留学を希望しました。


——留学してみて、留学前と大きく変わった価値観はありますか?

平林:自分のキャリアをすごく真剣に考えている人が周りにとても多かったのが印象的でした。大きい組織においては、自分がやりたいことができる部署、身につけたいスキルが学べる部署に必ずしも行けるわけではありません。でもアメリカでは皆、それができる職場を求めて転職などをしています。これまでは、配属は自分で決めるというよりも、配属先として決まった部署に運命のようなものを感じるようにしていて、与えられた環境でいかに自分の能力を高められるか、と考えていました。でもこちらの同級生たちは、なりたい自分になるためにはどのポストに行くべきか?どのスキルをつけるべきか?と日々考えています。我々の職場においても同様に、短期的・長期的になりたい像ややりたいことを整理して、人事部に伝えて行くことはできるんじゃないかなと思います。
 生活面でいうと、アメリカがこんなに好きになるとは正直思っていませんでした。日本の食事や温泉が大好きなので(笑)。でも海外で暮らしてみるとやっぱり楽しいものですね。また、ロサンゼルスで活躍する日本人の方にも尊敬できる方がたくさんいて、職種を超えて交流できることも良い点だと思います。いつか何らかの機会にまたアメリカに戻ってきたいです。


——帰国後、留学の経験や学ばれたことを踏まえ、どのように活動されたいですか?

平林:UCLAのMBAでは「Social impact」という言葉が自分の中でのキーワードになっていました。社会に対してポジティブな影響を与えたいという起業家がアメリカにはたくさんいますが、大学院の授業を通じて、そうした方々にコンサルティングしたり投資したりという経験を得ることができ、とても刺激になりました。国が埋めてこられなかった穴を埋めようとする社会起業家の取組をこれからも応援していきたいと思っていて、日本でもNPOなどに対してプロボノ(専門家によるボランティア活動)でコンサルティングを提供できるプログラムに参加してみたいと思っています。あとはせっかく向上した英語のスキルを腐らせないようにしたいですね。
 ほかにも、授業の一環でUCLAの学部生の行うプロジェクトのメンターをやる機会があり、そのときに、誰かに自分の知識や経験を伝えることは意味があることだと感じました。この経験から、大きい枠組みでの金融教育などにも携われたらいいなと思っています。教育はどういった分野でも必ず必要となる分野だと思います。アメリカには大規模なNPOも多数あり、コンサルに依頼して戦略を作り上げたり見直したりすることもありますが、日本にはコンサルと一緒に戦略を練っていこうという気概のあるNPOはなかなかありませんし、そこまで財務的に体力のあるNPOもまだあまりないと感じています。こういった状況に鑑み、自分もまずはプロボノ活動を通じて知識を伝えて何かしら貢献できればと思っています。


——MBA留学したい方へ、具体的にアドバイスはありますか?

平林:まずは(TOEFLやGMAT等の)点数がとれないとしょうがないので、頑張って勉強してください(笑)!そしてせっかく来るなら、自分の行きたい学校を目指すといいと思います。正直、大学のランクが高いほど周囲の学生の質も高いと感じます。留学に向けた勉強がつらいときは、セルフモチベートできるものを見つけてください。私は西海岸の憧れの大学院で2年間を過ごす自分の姿を想像し、モチベーションを高めていました。また、当時は飲み会も沢山断って勉強していました(笑)。でも英語のドラマとTEDは見ていましたね。MBAが自分のステップアップに必要だと確信できたら、多少大変でも頑張れると思います。そして、実際に来てみて、当時頑張って良かったなあと心から思います。
 留学しようか迷っているなら、留学した方が良いと思います。留学をいま見送っても将来必ずまた留学したいという思いが強くなってくるものです。留学期間は、将来自分が何を成し遂げたいかをゆっくり自分の中で考えられる人生の棚卸し期間にもなります。また、出願プロセスにおける、志望理由を考えたり面接準備をしたりする過程そのものも、これまで自分がやってきたことや自分の魅力を真剣に考えられる契機となります。
 UCLAのMBAで過ごした2年間は、自分を見つめ直し、将来のなりたい自分に必要な知識や能力を身に着けることができるとても充実したものでした。TOEFLやGMAT、果ては英語でのインタビュー(面接)まで、合格までの道のりはとても大変ですが、その分の価値はあると思います。頑張ってください!Study hard!



<あとがき> 留学期間は「人生の棚卸し」、という点に同意します。効果的な志望動機を作成するためには自分の内面を深掘りしなければならず、留学前から「棚卸し」は始まっています。これは特に、社会人になってから留学する方皆さんに言えることではないでしょうか。知識や経験を得るのみならず、じっくり内省ができる貴重な時間を得られることも、留学のメリットだと思います!
(文責:吉野彩 @yoshinoayap
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