第61回フォーラム
「因果推論」


日時:
LA:2020年6月26日(金)午後6時~7時
日本:2020年6月27日(土)午前10時~11時


講演
「『なぜ?』を探求する -医療における因果関係の推論―」
井上 浩輔
所属:Department of Epidemiology, UCLA


要旨:なぜ、人は病気になるのか?例えば糖尿病について考えてみても、その原因は食事、運動、遺伝、併存疾患など数多く存在し、それぞれの因子が複雑に絡み合っている。さらに糖尿病のコントロールが悪いと、心筋梗塞など重篤な合併症を引き起こす。では、何をしたら糖尿病及びその合併症を効率的に防ぐことができるのだろうか?こうした問いに答えるために重要となるアプローチの一つが「因果推論」である。因果推論では、手元のデータを用いて「もし~だったら」という世界を作り出し、暴露(○○した場合)と非暴露(○○しなかった場合)の効果を推定する。本講演では、因果推論の大まかな枠組みに触れたうえで、他のアプローチ(介入試験)との比較、生じうるバイアスについて簡単に説明する。後半では、人工知能や機械学習が、因果推論の枠組みでどのように応用され得るかを、具体例を用いて触れる予定である。豊富なデータと高性能のコンピューターが扱える現代において、既存のデータからどこまで因果関係を考察できるかは、効率的に科学を発展させるうえで一層重要なテーマとなる。本講演を通じて、因果を考えることの大切さ・難しさ・楽しさを少しでも伝えることができれば幸いである。

ご略歴:2013年東京大学医学部医学科卒業。国立国際医療研究センター、横浜労災病院を経て、2017年よりUCLA公衆衛生大学院(疫学)博士課程に留学中。因果推論、生活習慣病を専門とし、医学研究における疫学手法の発展・応用に取り組んでいる。伊藤病院疫学顧問。ホームページ(http://labusers.net/~kinoue/)