Nichibei Doctors Club (NDC)
Japan America Business Association (JABA)
Southern California Japanese Scholars Forum(SCJSF) 共催

(第60回 SCJFC&JABAフォーラム)

Dr. Paul I. Terasaki 追悼記念合同フォーラム



日時:2020年1月26日(日)


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Introduction:「Dr. Paul I. Terasakiの軌跡と功績」

Naoko Okada
 Terasaki Research Institute

The Terasaki Nibei (ニベイ) Foundation の一部、Nichibei Doctors Club (NDC)は、1998年にUCLAのPaul I. Terasakihaki 博士によって創設された非営利団体です。日本から米国に来た医師や医学・理学系研究者を様々な面で支援することを目的として設立され、月1回の定例会を中心に様々な会員交流イベントを行っています。臓器移植の分野において多大な功績を残したPaul I. Terasaki博士の功績とNDCの活動を紹介します。

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講演1 from NDC:「日米の肝移植: 両者の違いと歴史から臓器保存の最新テクノロジーまで」

伊藤貴洋(Takahiro Ito MD, PhD)
 The Dumont-UCLA Transplant Center, Assistant Project Scientist
 Nichibei Doctors' Club 現President

抄録:肝移植は、他に救命できる治療法のない末期肝不全患者に対する唯一の治療法である。アメリカでは1963年にThomas E. Starzlが、日本では1964年に千葉大学にて初の肝移植が行われた。免疫抑制剤の開発、臓器保存技術の向上、手術、周術期管理の向上に伴い、その治療成績は向上している。一方、脳死肝移植が中心の米国と異なり、日本では生体肝移植が未だに多くを占めるなど、日米での肝移植には多くの違いが存在する。演者は2017年よりUCLAに留学し、臨床の肝移植に参加するとともに、臓器の虚血再灌流障害研究を中心とした基礎研究チームと合同で研究を行っている。本講演では、演者の視点から見た日米での移植医療や研究の違い、その歴史と最新のトピックスについて紹介する。

略歴:2007年に三重大学医学部卒業後、大垣市民病院初期臨床研修。2009年、済生会松阪総合病院外科にて後期臨床研修。2011年に紀南病院外科、2013年から三重大学大学院医学系研究科博士課程(肝胆膵・移植外科)  鈴鹿中央総合病院外科を経て、2017年よりDepartment of Surgery, The Dumont-UCLA Transplant Center, UCLAに留学。2019年からNDCプレジデント、現在に至る。

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講演2 from JABA:「MD x MBA 未知の世界へ」

針谷綾花(Ayaka Harigai, MD)
 UCLA School of Management. Full-time MBA program
 UCLA Club Volleyball team member (position: OH)

抄録:医師の駆け出し3年目にして異国の地で全くの異分野を勉強すると何が起こるのか、自分を実験台に検証を始めること早1年半。さまざまな事件やイベントが起こったので、本講演ではおもしろおかしくご紹介致します。他の演者の方の素晴らしいご講演の合間に、息抜きとしてお気楽にお楽しみください。

略歴:2016年に東京医科歯科大学医学部を卒業。2日に1つ試験がある卒業試験シーズンでも週5でバレーボールに打ち込む。在学中の2015年1月、文部科学省補助事業EDGEプログラム主催のInnovation Challenge Competitionで銀賞を受賞。国試3ヶ月前に渋谷の起業塾に挑戦、国試へのモチベーションが高まる。無事合格後は、順天堂大学浦安病院にて初期臨床研修を開始。2018年7月よりUCLA Anderson School of ManagementのMBAコース(経営学修士)に留学。2019-2020年のUCLA Club Volleyballのトライアウトに合格し、Outside Hitterとして活動。将来は放射線治療科を目指し、学会誌のJASTRO NEWSLETTERにカリフォルニア留学記を連載中。

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講演3 from SCJSF:「細胞のウォーリーを探せ!」

合田圭介(Keisuke Goda, PhD)
 東京大学大学院理学系研究科 教授
 UCLA学部生体工学科 教授(非常勤)
 武漢大学工業科学研究院 教授(非常勤)
 http://www.goda.chem.s.u-tokyo.ac.jp

抄録:現在の生物学・医学における細胞解析では、蛍光顕微鏡・ピペットを用いて膨大な手間と時間がかかる目視・手作業で細胞の検出・単離がなされており、多種多様な細胞集団の網羅的調査が困難である。まさに、「ウォーリーを探せ!」の細胞版的問題が存在し、それが科学的発見の律速となっている。本講演では、この本質的問題を解決する「インテリジェント細胞検索エンジン」[Nitta et al., Cell 175,266 (2018)]を紹介する。本技術は、物理学、化学、情報科学、機械工学、電子工学などの多岐に渡る分野の最先端技術を結集することで達成された、細胞を一つ一つ網羅的に蛍光観察・高速識別し、リアルタイム深層学習を用いた解析結果に応じて所望の細胞を分取する生物学・医学の基盤技術である。本技術を用いることで、従来の手作業では半年間かかっていた作業を数分間で行うことが可能となる。本講演では、本技術の基本原理及び本技術がもたらす生物学・医学・バイオ産業の新展開についてお話しする。また、最後のおまけとして、昨今の教育・研究現場における日米比較についてお話しする。

略歴:2001年にUC Berkeley物理学科を卒業(首席)。同年にMIT物理学科に移り、LIGOグループにて重力波検出器の量子強化について研究(LIGOは2017年にノーベル物理学賞を受賞)。2007年にMIT物理学科博士課程を修了(理学博士)。その後、UCLA工学部電気工学科と生体工学科にて様々なイメージング技術やレーザー分光法を開発。2012年より東京大学大学院理学系研究科化学専攻の教授。2014~2019年は内閣府革新的研究開発プログラム(ImPACT)のプログラム・マネージャー。2019年よりUCLA工学部生体工学科と武漢大学工業科学研究院の非常勤教授。日本学術振興会賞、市村学術賞、読売ゴールドメダルはじめ数々の賞を受賞。現在は光量子科学を基盤とする分子イメージング・分子分光法にマイクロ流体化学と計算科学を融合することで、生物学と医学におけるセレンディピティ(偶然の幸運な発見)を実現する技術の創出を行っている。2018年にはベンチャー企業2社を創業。SCJSFの創設者・名誉会長。