第55回フォーラム
「痛みと特許」
日時:2019年2月24日(日)
2:30PM講演会開始
6:00PM講演会終了(講演会後に交流会があります)
会場:UCLA Anderson School of Management, Room D313
講演1
「麻酔と痛み ~患者さんを守るために~」
山本 徹 (Toru Yamamoto, DDS, PhD)
UCLA School of Dentistry, Neuropharmacology
要旨:歯科の歴史は痛みとの戦いの歴史である。演者は歯科医師として、歯科口腔外科手術を受ける患者さんや、慢性的な痛みに苦しむ患者さんの不安や悩みと常に向き合ってきた。本講演では、「麻酔って何?」「痛みって何?」といった話題を通して私の専門分野である歯科麻酔学という学問体系の、日本の歯科医療における位置付けや取り組みをご紹介したい。また現在UCLAで行っている「痛みの基礎研究」についても、その概要をご紹介する。
ご略歴:2008年歯科医師免許取得。2013年九州歯科大学大学院歯学研究科歯科侵襲制御学専攻博士課程を修了し(歯学博士)、鶴見大学歯科麻酔学講座助教、東京医科歯科大学麻酔生体管理学分野医員を経て、2017年4月よりUCLAにて博士研究員として神経障害性疼痛および頭痛の発症メカニズム解明と治療法開発に向けた基礎医学研究に従事している。日本歯科麻酔学会認定医・専門医、日本口腔顔面痛学会認定医。第46回日本歯科麻酔学会最優秀発表賞受賞。AHA ACLS, PALS, BLS(アメリカ心臓協会認定心肺蘇生法)プロバイダー。
講演2
「知的財産権制度の概要 ―発明をビジネスに変えるには―」
吉野彩(Aya Yoshino)
Visiting Scholar, University of Southern California
Gould school of Law / 経済産業省特許庁
要旨:知的財産権制度とは、人間の知的創造活動の結果生まれた技術(特許)、デザイン(意匠)、ブランド(商標)などを適切に保護することで、研究開発等へのインセンティブを付与し、産業の発展を促すことを目的とするものである。AppleとSamsungが7年間にわたり法廷で争い続けたスマホの特許侵害訴訟を記憶している人もいるだろう。こういった大企業も知財を重要視し、ときには訴訟も仕掛けつつ、自らの事業に活用している。また、知財は「自分にはあまり関係ない」「難しくてよくわからない」と、事業や研究の初期段階ではあまり気にかけない人も多くいるかもしれないが、知財の権利は基本的に早い者勝ちであり、第三者が先に特許取得すると自分の技術は使えなくなってしまう。また、まだ世に知られていない発明のみが特許を受けることができるため、例えば特許出願前に学会などで先に発表してしまうと、仮に新しい技術であったとしても特許取得できない恐れがある。本講演では、これら知財(特許・意匠・商標)制度の概要や日本・アメリカへの出願の流れ、研究者やこれからビジネスをしたいと考えている皆さんに最低限押さえていただきたいポイントなどについて、判例を交えながらご紹介したいと思う。
ご略歴:2011年に特許庁入庁。企画調査課、国際政策課を経て、経済産業省アジア大洋州課に約2年間出向。2017年より米国に留学し、University of Southern California (南カリフォルニア大学)ロースクールにてLL.M.取得。現在もVisiting ScholarとしてUSC留学中。