第38回SCJSF&JABAフォーラム 「日本文化研究とスピン輸送」

2015年8月9日


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講演1No.1
「物性物理におけるスピン輸送」

竹井聡 (So Takei), Ph.D.
Assistant Researcher, UCLA Department of Physics and Astronomy

要旨:物性物理では物質(個体・液体など)の性質を量子力学や統計力学の法則に基いて解明しようとする。この分野において輸送現象というのは重要な概念であり、現時点で最も深く理解されているのが電子輸送である。それは物質に電圧をかけ、電流を測定するというもので、物質の性質を解明するのに長い間貢献してきた。しかしここ数年、実験の進歩により、物質の性質を「スピン」輸送の概念に基いて解明することが可能になってきており、電子輸送が適用できる金属や半導体だけでなく、電流を通さない絶縁体にも応用できるため注目を集め始めている。この講演では、スピン輸送とは何か、そしてこの概念が基礎的な部分及び応用面でどのような影響をもたらすかを解説していく。

略歴:2003年カナダ・ブリティッシュコロンビア州立大学数学物理学科卒業。2008年カナダ・トロント大学物理学科物性理論研究科、非平衡状態における量子臨界現象の研究で博士課程修了。2008年からドイツ・マックスプランク個体物理研究所で低次元量子電子系の非平衡輸送現象をポストドックとして研究。その後、2010年からはアメリカ・メリーランド州立大学でポストドックとしてトポロジカル超電導の研究を行い、現在はUCLA物理学科研究員として磁性絶縁体におけるスピン超流動の研究をしている。2015年9月からはニューヨーク市立大学クイーンズ校で tenure-track assistant professor として研究室を立ち上げる予定である。

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講演No.2
「文化人類学者䛾日本:人間科学というジレンマと、アメリカにおける日本文化研究䛾歴史」

西嶋諒子 (Ryoko Nishijima)
UCLA Department of Anthropology, PhD candidate

要旨: 同じ人間なのに、なぜ人は多種多様な文化を生んだのか?という問いに始まった文化人類学。敵国日本の文化研究として出版された「菊と刀」(1946) は、日本人とアメリカ人は根本的に異なる価値観のもと機能していると説いている。現代日本の文化としてしばしば研究対象に選ばれる、「ホステスクラブとサラリーマン」や「萌えとは何か」といったトピックもまた、一見ユニークな日本の側面に焦点を当てている。米国の人類学者によって日本はこれまでいかに研究されてきたのか。その歴史を紹介する中で、文化の固有性とそこに垣間見える人類の普遍性について考えたい。

略歴: 2008年Stanford University卒業 (BA; 文化人類学、映画学ダブル専攻)。タイ・スリン県の中学校にて英語教師をつとめたのち、2010年よりUCLA人類学部博士課程在籍。現在の研究テーマは、日本の文化産業(主に観光とメディア)による「ジャパンブランド」創出プロセス、ポストコロニアリズムの枠組みからみるアジア・西洋諸国との文化の力学、など。

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