第33回フォーラム 「動脈硬化とエピジェネティックス」



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講演No.1
「動脈硬化症における脂質代謝と免疫応答のクロストーク」

伊藤綾香 (Ayaka Ito), Ph.D.
Assistant Project Scientist
Howard Huge Medical Institute, Department of Pathology and Laboratory Medicine, David Geffen School of Medicine at University of California, Los Angeles

動脈硬化症に起因する心血管疾患、脳血管疾患は、日本をはじめ、先進諸国において、癌と並ぶ主要な死因です。動脈硬化症は脂質代謝異常と免疫応答異常を併有する病態ですが、脂質代謝と免疫がどうクロストークしているのかは実はよく分かっていません。本講演では動脈硬化症とは何か、動脈硬化症の発症リスクを高めるメタボリックシンドロームとは何か、という基礎から、脂質代謝異常と免疫応答異常がどのように動脈硬化症を進展させるのか、という最新の成果についてお話し、さらに、食事による予防法もご紹介させて頂きます。

経歴: 奈良女子大学卒業。京都大学修士課程、東京医科歯科大学博士課程を修了。東京医科歯科大学特任助教、カリフォルニア大学ロサンゼルス校博士研究員、American Heart Association博士研究員を経て現職。食事による予防医学に興味を持っており、肥満、動脈硬化などのメタボリックシンドロームの発症メカニズムについて研究中。

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講演No.2
「エピジェネティックスによる神経幹細胞の分化決定」

亀井典子(Noriko Kamei), Ph.D.
Project Scientist
University of California, Irvine
Institute of Memory Impairments and Neurological disorders (MIND)

一度損傷を受けた成人の中枢神経系は再生しない事から、脊髄損傷は神経幹細胞を用いて脳、中枢神経系の疾患を治療しようという再生医療のフロントラインにいます。脊髄損傷後の炎症と自然免疫系の長期にわたる関与が明らかになり、移植神経幹細胞が損傷部位で機能回復に最大限に貢献するように分化させる為のいろいろな研究が続けられています。その一方、脳で高レベルに存在しオフにされていた遺伝子発現をオンにスイッチすることができるDNA上の修飾が発見され、神経幹細胞が特定の細胞に分化していく過程が今まで考えられていたものとは異なることが示唆されています。今回このDNA上の修飾の積極的な変換に関わるエンザイムの神経幹細胞での発現と炎症によるその発現の変化を見いだした演者がエピジェネティックスによる移植神経幹細胞の分化に関する最新の知見を脊髄損傷というモデルをもとにお話ししたいと思います。
経歴: 1995年 東京工業大学生命理工学研究科にて博士取得。1996年 UCI Department of Molecular Biology and Biochemistry にて受精における精子と卵の種特異的認識の分子機構の仕事に従事、当時30年来未解決だった精子に対する卵側のレセプターを単離、分子機構を解明。ポスドク、サイエンティストを経て、2007年 UCI Department of Anatomy and Neurobiology そして現在の研究所の所属となり「脊髄損傷モデルにおける移植ヒト神経幹細胞の分化へのエピジェネティックスの関与」のプロジェクトを立ち上げて研究を進めている。

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