第31回フォーラム 2014年02月23日 「2013年ノーベル賞解説特集」

1. ノーベル化学賞 「計算科学とマルチスケールモデルの解説」
野村健一 (Ken-ichi Nomura), M.S. Computer Science, Ph.D. Physics
Systems Administrator, Center for High-performance Computing and Communications Collaboratory for Advanced Computing and Simulations
University of Southern California

2013年のノーベル化学賞は複雑な化学系に置けるマルチスケールモデルの開発というコンピューターを使った手法に対して授与されました。理論、実験 に次ぐ研究手法として、コンピューターシミュレーションの果たす役割は今までに無いくらい注目を集めています。本講演ではコンピューターを使って何が出来 るのか、マルチスケールモデルとは、計算科学の最先端等をなるべく分かりやすく紹介させて頂きます。

略歴:新潟大学自然科学研究科修士課程終了後、2002年に渡米。2008年にUniversity of Southern Californiaで物理の博士号と計算機科学の修士号を取得。ポスドク、特任助教を経た後2013年からUSCの計算機センターで研究、教育、ユー ザーサポートに従事する。


2. ノーベル経済学賞 「資産価格の実証分析に関する功績を称えて」
三善由幸(Yoshiyuki Miyoshi), MA in Economics 
PhD. Student in Department of Economics 
University of California, San Diego

越智成基(Seiki Ochi), MS in Civil Engineering 
MBA applicant in Paul Merage School of Business 
University of California, Irvine 

今年のノーベル経済学賞は実に面白い。意見の異なる経済学者たちが同じ壇上で世界最高の栄誉を受けたからだ。ファーマ教授は、抜け目のない合理的な人々が 集まるマーケットが機能し、資産価格が決定されているとする学説を支える中心的な研究者。他方、シラー教授は、「バブル」と呼ばれる現象に関心を寄せつ つ、そのような学説では資産価格の変動は説明できないとして、心理学を用いたアプローチの有効性をも主張する。しかも、お互いが入念な実証分析を携えて。 株、債券、不動産など資産の価格に関する経済学は、一見相反する理論を主張する経済学者のこのような論争がクローズアップされ、経済学に不信を抱く人々か ら冷ややかな視線を浴びている分野として悪名高い。しかし、実は、資産価格の経済学は、経済学の中でも群を抜いて若い分野であるにもかかわらず、他のどの 分野にもまして現実の世界を大きく変え、そして、私たちもその研究成果に大きな恩恵を受けていることは、意外に知られていない。本講演では、現代のファイ ナンス理論を概観しながら彼らの業績を解説するとともに、その成果の実務への影響について説明する。さらに、経済変動をどのように察知し、どうビジネスや 個人の資産形成等に活用していくべきか、議論する。

略歴 (三善由幸): 2002年に東京大学教育学部(教育心理学コース)を卒業後、国土交通省に入省(法律職)。2008年MA in Economics (Tufts University) 修了。国土交通省では主に住宅・土地税制の企画立案や住宅市場の調査分析を担当。また、観光庁(現在)にて政府統計の新規開発、大臣官房総務課にて地方分 権改革への対応などに従事。2012年8月より同省を休職し、UCSDのPhD in Economics プログラムにて研究に従事、現在に至る。

略歴 (
越智成基): 2006年に東京大学工学部社会基盤学科国際プロジェクトコース卒業後、同専攻インフラ財務経済研究室にて修士号を取得。2008年より国土交通省航空局 企画室にて、羽田空港国際化や空港民営化等の政策立案、空港使用料等のプライシングマネジメントに従事。2010年より同省不動産業課にて賃貸住宅管理業 者登録制度や悪質マンション勧誘の禁止等に係る施策の立案・実施に従事。2011年より人事院長期在外研究員制度にて米国留学し、現在に至る。